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繁華街。 道を挟んで向かい合う2つのファストフード店。 その一方。2階席。 窓から、もう一方の店の2階席が見える。 とある朝。 向かいの店の、窓際から少し奥まった場所。 そこに女性がいる。ショートの黒髪。 窓の外を見ている。真っ直ぐに。 こちら側を見ている。 目が合う。 というより、ずっと合っていたのか。 なんだか気恥ずかしく 視線をはずそうとするが、はずせない。 自分を見ているわけではないはず、と思いつつ。 見つめてしまう。 と、女性は影に包まれる。 陽射しの角度の関係。 光はもう奥まで届かない。 視線はもうない。影に救われる。 翌朝。 また彼女が見える。同じ位置。 彼女もこちらを見ている。 はずせない視線。しばしの対峙。 そして影。姿を消す笑顔。 20代前半か。 やさしい表情の中に醸す凛とした空気。 一日中、彼女の表情を反芻する。 その翌朝。雨。 光は届かない。 彼女の姿は見えない。 見えぬ影の中に、姿を想像し続ける。 次の日。快晴。 いた。 見えた。変わらぬ笑顔。 強い陽射し。 彼女の顔だけでなく その全身に光が届く。 彼女の服はグレーのストライプ。 ファストフード店の制服。 制服? 胸の下に目が行く。 文字が見える。 “アルバイト募集キャンペーン 6月18日まで” ポスターか。 彼女の凛とした笑顔は動かない。 こちらを見ている。またはずせない視線。 6月18日まで。今日の日付。 用済みになったポスターは、はがされるだけ。 捨てられるだけ。燃やされるだけ。 あの凛とした笑顔はもう見られないのか。 店に頼んで、彼女のポスターを もらうことはできないのか。 できるはずがない。 なぜなら、自分自身もポスターだから。 という、ありがちなオチの話を書こうとしてたわけです。 もう少し肉付けして。 最後は、一緒のタイミングに燃えるゴミの日に出される、と。 向かい合わせに重ねられて。 声を出さぬ相手に、自分と同じような意志が宿っているのか わからぬまま、想いを確かめるすべもないまま、口づける、と。 平面だからこその、目も鼻も口もすべてが重なり合うキス。 間に少し生ゴミを挟んでアク付けしてもいいけれど。 で、一緒に燃えて灰になる、と。 そんな内容を考えてたわけです。 今朝、ファストフード店の2階で。 向かいの店の2階席が見える窓際で。 で、その向かいの窓際に、女性がいたわけです。 別段、あまり興味をひかれるような方ではなかったんですが なんとなく目が行ったわけです。 0.2秒ですかね。目が合いまして。 彼女はそそくさと立ち上がって、 スクリーンカーテンを閉めました。不機嫌そうに。 真っ黄色のカーテンでした。鮮やかな黄色。 目にまぶしいほどの。 私は、えーと、私は、何か、醸してるんでしょうか。 2階席から眺める爽やかな朝の風景を犠牲にしてまで スクリーンカーテンを閉めたくなるような何かを。 醸してるんでしょうか。 私はポスターになりたい。 お次もあの人だといいなぁ。 テーマは【ピクニック】をお送りする予定です。 ハイキングでも可。よろしくお願いします。
by wacky_racers
| 2007-06-18 11:16
| サヤツキ(月曜日)
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