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Born to be wildを「骨よ飛べワイルドに」と訳す。 そんな思春期を過ごしましたサヤツキです。 本日のテーマは【ワイルド】だそうです。 頑張ります。 午前6時55分。 野性の本能に突き動かされ、ベッドの中で身じろぎする。 目覚まし時計代わりにタイマーをセットしておいたテレビが 近所迷惑な音量でがなり立てている。 ワイルドに目やにの付いた両の眼(まなこ)は、 まだ見開かれることを拒否している。 野性の勘を頼りに手探りでリモコンを見つけ、音量を下げる。 いつも通りの朝だ。まだ眠い。 今日の自分はどんな一日を過ごすのだろう。 野性の勘に従って「今日の占いカウントダウン」を見る。 画面はまだぼやけている。 アナウンサーの声によると、双子座は2位だ。 1位でないのは残念だが、まずまずの順位だ。 「双子座のあなたは、夢の実現に向け一歩前進 新たな目標を立てて実行してください」 だそうだ。 なるほど。俺のワイルドな野望は実現に向かうと。 しかし、新たな目標を立てろと。 すなわち、今までの夢はあきらめろと。そういうことか。 素直に従おう。野生児である俺に猜疑心などない。 ところで、今日の双子座のラッキーアイテムはなんだ。 アナウンサーは読み上げてくれない。 画面上に小さく表示された文字を、開ききらぬ目で追う。 ぼやけて良く見えない。 なんだこれは。 はっきりと読み取ることはできないが、 鋭敏な野性の勘で推測するならば「タイガーウッズ」だ。 ラッキーアイテムはタイガーウッズ。虎林。うん。ワイルドだ。 しかし、タイガーウッズをどうすればラッキーになれるのだ。 と、常人なら戸惑うことだろう。 俺には研ぎ澄まされた野性の勘がある。 その勘がささやく。「クロマティでも代用可だろう」。 そう、代用できるに違いない。 どうやって代用すればいいか、また新たな疑問が生まれるが。 むずむずと無骨な動作でベッドから起き出す。 ワイルドに小用を足し、 ワイルドにシャワーを浴び、 ワイルドにヒゲを剃り、 ワイルドに着替え、 ワイルドに小用を足す。 なぜか出ない。 あ、トイレはさっき済ませたか。 まぁいい。出勤の準備は完了だ。 窓を開け、空を見上げる。雨が降っている。 野性の勘では、今日一日降り続けるだろう。 しかし、俺は傘をささない。 ワイルドさが売りの俺である。雨なんぞ、濡れていけばいいのだ。 「雨に濡れると風邪をひくよ」と人は心配する。 しかし、生まれてこのかた30数年、傘要らずで通している俺だが 雨のせいで風邪をひいたことなど一度もない。 別段、体が頑丈というわけではない。 幼少時には肺炎で2度入院し、小・中学校は体調不良で休みがち。 20代後半になるまで偏頭痛に悩まされ続けた虚弱体質である。 そんな俺でも、雨が原因で風邪をひくなんてことはなかったのだ。 肺炎やら体調不良は雨のせいだったんじゃないか、と思うこともある。 そんな心の声には耳をかさない。いいのだ。俺には傘は不要だ。 傘をささないと色んな意味で同情されることは多いけれども。 そんなわけで、折り畳み傘を持って家を出る。 折り畳み傘は必須アイテムなのだ。 仕事上、大事な書類を運ばねばならぬ時がある。 自分の体はともかく、書類を濡らしては申し訳ない。 野性の本能を駆使し、すべての雨粒をよけることも容易だが それを繁華街で実践するとコワイオニイサンにぶつかることが多い。 「兄ちゃんどこ見て歩いてんねん」 都内に不似合いな関西弁でどやされる。 そんな事態は避けねばならない。野性の本能がそうささやく。 雨に打たれながら会社へと歩く。 ちなみに徒歩通勤である。 片道25分の道のりは中途半端に面倒だが、 遅刻しそうな時は本能の赴くままにタクシーに乗ればいい。 通勤なんて、ワイルドな俺にはへっちゃらなのだ。 「へっちゃら」の語感はちっともワイルドでないのが不満だが まぁいいだろう。 ♪ちゃーらー へっちゃらー ふんふーふ ふんふふーふ ふふふふー 歌詞を知らないからワイルドに鼻歌だ。朝から気分がいい。 それにしても腹が減った。 通勤途中に朝飯を摂らねばならない。肉を喰わねばならない。 ワイルドに肉を頬ばらねばならない。 家と会社の中間にあるファストフード店に立ち寄り、 ベーコンナントカバーガーのセットを注文する。 朝飯は肉に限ると思う。 朝飯に限らず、食事の大半は肉であるべきだと思う。 肉あってこそのワイルドライフ、と思う。 別段、ベジタリアンを否定したくはない。 環境問題の観点から野菜食を推奨する人々は尊敬さえする。 しかし、「肉は健康に悪い」云々の論を持ち出す人は信用したくない。 「肉の塊でしかないお前らが肉を不健康とか言うな」 と地味にデコピンしながら叱りつけてやりたい。 まぁ、俺がそんなことを言ったところで、 彼らは原稿用紙100枚以上の論拠をもって反論してくるだけだろう。 でも、俺はそれに対する捨て台詞も用意している。 「そんなに長々と延々と説明せねば人を説得できないような主張が 信用できる筈なかろうが、この偏食野郎」 これに関しても彼らは原稿用紙100枚以上の……以下繰り返し。 消化に悪いので深く考えずにベーコンナントカバーガーを頬ばり ブラックコーヒーでワイルドに流し込む。 肉の摂取完了。これで今日も一日安心だ。やはり肉はいい。 昼は野菜サラダのみにしておこう。健康のために。 研ぎ澄まされた野性の本能がそうささやく。 ファストフード店を出ると、すでに雨は小降りになっている。 サクサクと歩いて定時の50分前に会社到着。 社内の誰よりも早く会社に出て、仕事の準備をする。 それこそが、この俺の、このワイルドな俺の、 ひときわ優れた野性の本能が教えてくれた出世術である。 近々クビになる予定なのだが。 お次はなんと、もしかしたら、いや絶対、いやどうでしょう。 テーマは【カギ】をお送りする予定です。 ・スルーも可 ・別題で書いても可 ・お好きな曜日でどうぞ ・次の人へのお題をお忘れなく ・ライター紹介欄もよろしく と、念のために書いておきます。わくわく。
by wacky_racers
| 2007-06-11 12:53
| サヤツキ(月曜日)
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