カテゴリ
全体 サヤツキ(月曜日) 加湿器(水曜日) わんたん(金曜日) 増刊号・X ひみつ地底人(増刊号) スヨイル(増刊号) ライター紹介 ビビエス 業務連絡 ↓---Archives---↓ 斉 藤の金曜日 スヨイルの水曜日 のぶおの木曜日 ±の土曜日 コエンザイムの火曜日 兄海(・・・) 黒幕ちゃん 検索
フォロー中のブログ
毎日が送りバント マスリラの絵日記 ほれみたことか 幻想と日常 ~La Fa... カツオくんは永遠の小学生... Jub Up Family 百花繚乱「ぼたんの屋敷」 coolys creek... 猫の毛玉 さくさく。 くま夫婦 by中央ヤンボル 養ってください 続・平和な日記 ばれたら妻に殺されるblog。 宇宙のどこかの片隅で。 おなかがゆるくなる
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
(前回の続き) ティロティロティロリン 聞きなじんだジングルが鳴り響く。DCMは切っていたはずだが、と まどろみの中でいぶかしむ間もなく、男の顔が目の前に浮かんだ。 「あほか!」 少し怒った様子で、真っ正面にこちらを睨みつけている。DCMの広 告メッセージではありえない構図と台詞だ。 DCM──Dream Control Machine。その安易な名前の通り、就寝 中の夢を操作する機械だが、Dream Commercial Messageの略 という解釈の方が一般に浸透しているのではなかろうか。寝ている 間、思いのままに好きな夢を見られ、なおかつ最高レベルの熟睡を 約束するマシン。利用者はその至福を無料で味わえる代わりに、就 寝直後と覚醒前に各15秒間、強制的に商品広告を見せられる。 テレビのようにチャンネルを変えたりトイレに立ったり、ビデオの ように早送りもできない状況。広告メッセージの制作に当たっては ネガティブアプローチの禁止が暗黙の了解になっていた筈だ。即 ち、現状の否定や不安喚起による販促行為は不可。なのだが 「お前はあほか!何度言わせれば気が済むんだ!」 男は罵声を浴びせてくる。夢の中なので目の逸らしようもないが、 別段、萎縮する必要も感じず、おれは平然とその男を見つめた。 「TCMを使う時はしっかり握りしめてろって言ってるだろうが」 いったい何を言ってるのかわからない。 「DCMじゃないんですか」 「ディーじゃない、ティーシーエム、タイム。タイムの方」 「はぁ」 「これだよ、これ」 男が握りしめているのは例のキッチンタイマーだ。 「まったく、また最初から説明しなきゃだめなのか……」 渋々といった感で男が言うには、あのキッチンタイマーには時間遡 行機能があるとのこと。基本は30分、「5x」「10x」「∞」 の切り替えが可能で、10xならMAX300分の5時間前。∞に関して は、特殊なダンスをしながらとあるキーワード唱えない限り反応し ないから気にしないように、とのこと。しっかり握りしめていない と利用者の意識自体も遡行して単なる過去時間の繰り返しになる。 ちなみに今回のような昼寝パラレルでの説明は38528回目、との こと。 「ふうん。ところであなたは一体誰なんですか」 ティロティロティロパポン 広告終了のジングルと共に目覚めた。昼寝中にDCMのジングルが流 れたのに違和感を覚えたものの、なんの夢を見ていたのかはすっか り忘れ、頬のよだれをぬぐう。 畳の床にはキッチンタイマーが無造作に置かれている。さっき無造 作に置いたのだから当たり前か。おれは何もすることがなく、それ を拾い上げてしげしげと眺めた。それにしても、「−」方向のタイ マーとはどういう動きをするんだろう。おれはスライドスイッチを スチチチと10xに合わせ、−方向にぐりっと20まで回し、スター トボタンをぽん、と押 というわけだから、しっかりと握りしめているように。五本の指を 使って、しっかりと、ぎゅっと、思いっきり握りしめてなさい」 「ふうん。ところであなたは一体誰なんですか」 ティロティロティロリン 【夏の食欲に大盛りボンバー! 焼きそばボンバー超大盛り。 ボンバボンバボン超大盛り!】 ティロティロティロパポン 朝だ。時計を見ると午前9時。休日の目覚めには、まぁ、早くもな く遅くもない。DCMを使った割には多少すっきりしない朝だが、不 眠症に近かった昔に比べれば、この清々しさがありがたい。大半の DCM利用者と同じく、おれは夢の内容などすっかり忘れてむずむず と起き出した。 うだうだと新聞を読み、ネットをチェックし、テレビを見ているう ちに腹が減ってきた。何を食べよう。家の向かいにあるコンビニの 陳列棚を思い浮かべる。なんだかガツンと食べたい気分になってき た。焼きそばか。うん、焼きそばがいい。ガツンと食べる、で焼き そばを連想する自分の貧乏性に苦笑しつつ、財布から小銭だけ出し てコンビニへ向かった。右手に握りしめた300円。その握る強さに 少し違和感を覚える。ぎゅっと、しっかりと、思いっきり。なぜこ んなに強く握っているのか。 それほどまでに 私は焼きそばが食べたいんでしょうか。 それとも 私は小銭が愛しいのでしょうか。 あれ 読点のキーが反応しなくなりました あ 句点もだ 私はこのまま打ち進めてもいいんでしょうか 主語が私になってるし 嗚呼 (つづくかどうかは知りません) オチを書かなくていいのは気が楽です。 お次も【タイマー】でお願いします。 いや、どうでしょう。
by wacky_racers
| 2007-07-23 12:01
| サヤツキ(月曜日)
|
ファン申請 |
||